椎出鬼の舞(厳島神社)

8月16日に厳島神社で椎出鬼の舞が17:00より行われます。(和歌山県九度山町)

椎出鬼の舞は、無形民俗文化財に指定されています。
椎出鬼の舞は、五穀豊穣や悪疫払い、雨乞いを祈願する為にされているものです。


この祭事には十人衆と言うのがあり、太鼓・笛(下笛/上笛)・音頭取りなどをします。
鬼役は、十人衆以外から選ばれ、鬼役は当日まで誰なのかは伏せられます。
以前の十人衆は、16歳以上の男子がするのですが、
人口の減少により、現在は中学生以上が十人衆となる。
中学生が4名と高校生から20歳までの6名で構成されています。
現在、小学生が1名だとか…今後が心配です。

祭事の当日の早朝に「納石の儀」が行われます。
十人衆は、紀の川で白い石を3個、神社に奉納します。川に入り、般若心経を唱えます。
3個の石の意味は、過去・現在・未来を意味するそうです。


続いて「清心の儀」が行われます。
境内を清め、祭事に使う道具類や御神酒などを供え神事が。
神事が終わると、境内で御神酒を拝する。
この儀式は、鬼だけに行われ、鬼以外は、式場に入る事が出来ません。
鬼に選ばれると、祭事の前の15日間、不動谷川で身を清めます。
そして当日は十人衆と同じく、紀の川で白い石を奉納します。
ただし十人衆とは別に、夜明け前に行います。

傘と、その中は…傘の上には花が付けられます。
 

祭事が始まり、鬼・太鼓・笛・傘が神社までの30メートルほどの道に練り込みます。
道中、太鼓が叩かれますが鬼は、3打に一歩と制限されており、30Mの道を20〜30分かけます。
鬼は、長い棒を操り、一歩一歩、神社の境内に。
  

境内に入ると、太鼓の制約を受けないので鬼は暴れ、駆け回ります。
境内には、子どもがいっぱい。子どもを威嚇したり…
鬼に棒で触られると、病気にかからないと言われ幼児を抱きかかえたり。
 

神社前で、鬼が呪文を唱えます。
この呪文で、風を鎮め水を鎮めるそうですが、
なんと言っているかは分からないそうです。
鬼自身も、何を唱えているか分かっていないそうです。


境内を上座・中座・下座に分け、それぞれの場所で「三・三・九度の舞」を演じます。
三・三・九度の舞は、三節から成り立ち、平和祈願をしているのです。

一節
ありがたや ありがたや かみのいとくにあめふりて
あめふりて そうもくもうるうえにてみよの
ためしなりけり みよのためしなりけり

二節
みよしのの みよしのの ちもとのさくらたねうえて
たねうえて あらしやま あらたなるかみや
そうみどめでたき

三節
かわげしの かわげしの ねじろのやなぎ あ、あ、あ
あらわれ にげにやそうよの

上座での舞が終わると、次の中座まで境内で鬼が駆け回ります。
中座での舞が終わると、次の下座まで境内で鬼が駆け回ります。
 

下座では、鬼が傘を背にして傘をまわします。
「あ、あ、あ あらわれ にげにやそうよの」の三節の謡が終わると、傘が壊れ十人衆が逃げていきます。
鬼は、呆然とし嘆きます。
   

その後、鬼は怒り暴り回ります。
神社前に移動して、神社前で仁王立ちになり五穀豊穣・悪疫払い・雨乞いの祈願をします。
祭事が終わると、鬼が社務所に戻るまで、境内や周辺では鬼が出没。
 

これが現在のストーリーとなっていますが…不自然な場面があるのです。
鬼が怒って暴れているのに何故、神前の前で祈願をするのかと言う場面です。
本来は、ここに老夫婦が登場していたのです。
鬼が怒って暴れるところに老夫婦が慰め、蹴鞠を渡し和んでいき、
神前で老夫婦と一緒に祈るというものです。
人口の減少により、この部分は省略されています。
この省略された部分を復活させようと準備をされているそうです。
近々、この部分が復活するかも…そう言う話をされていました。
文献に近づけようと、最終的には…鬼が単独で舞うのではなく、
農夫と童顔の翁らが一緒に踊る形になるかも知れません…


2010年におこなわれた「椎出鬼の舞」の様子です。

〜厳島神社〜
南海「高野下駅」下車。


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