芋競べ祭り(熊野神社)

9月第1日曜日に熊野神社/野神山で芋競べ祭りが13:00より行われます。(滋賀県日野町)
2017年より、9月第1日曜日に変更したかも知れませんので確認必要です。
※最近は始まる時間が30分ほど早くなっているらしいです。

芋競べ祭りは、800年以上前から伝わっている祭事です。
国指定の無形民俗文化財に指定されています。
芋競べ祭りは、大きな里芋の長さを日野中山の西地区と東地区で競べあいます。
西地区が勝つと豊作。東地区が勝つと不作。
芋競べ祭りが始まった起源と言うか伝説は残っており、だだぼしと言う大男の物語のようです。

「だだぼし」
だだぼしと言う想像もつかないほどの大男がいました。
ある日、もっこに土を盛って西の方から里芋の芋茎を運んでいました。
ところが中山の地で芋茎が折れてしまいました。
代わりがないのかと探し歩きましたが見つける事は出来ず、
もっこに盛られた土はそのままになり丸山になりました。
だだぼしが一生懸命に芋茎を探した伝説が中山に残り、芋競べのはじまりとされています。


始まりの合図、太鼓が打ち鳴らされます。
その合図と共に、東西の地区の芋を竹にくくりつけ熊野神社の本殿に置かれます。
本殿で祓いとお参りをします。
  

神社に参拝後、社務所にて三三九度の盃の儀式を行います。
 

三三九度の盃の儀式が終われば、それぞれの地区の芋を野神山に持って行きます。
東の地区は東谷の道で野神山の祭場に。西の地区は西谷の道で野神山の祭場に。
移動するときは、そうらい・わあらいと声を発します。
東と西の違いは、足下の足袋で判断すると分かります。
白足袋は、東地区。ちなみに女神。黒足袋は、西地区。ちなみに男神。
  

野神山の祭場は、前日までに山子によって竹で囲いをしたり、
祭場に、小石を敷き詰めたりしておきます。
山子とは、かすりの着物を着て祭に参加する子供。
野神山の祭場に東西の地区の山若・山子が到着すると所定の位置に座ります。
山若とは、東西から七名づつ出て、祭儀の一切を受け持ちます。
ここから、祭事が始まります。この祭事は、とても長く祭事だけで2時間もあります。

野神山の祭場では、見学されている方に御鯉が配られます。


野神山で祭事が14:00に始まります。
【祭事の手順です。】
◎水廻し。神を拝す。


◎芋を供進する。神を拝す。
◎神の膳を奉る。神を拝す。
東西の山若が並び、神の膳を順々に手渡しして、勝手が神の膳に供えます。
神の膳には、それぞれの供え物が。
   

◎神の三三九度の盃。神を拝す。
勝手(山若を上がった人)、紋付きの羽織と袴姿。
東西で、御神酒の注ぎ方が違います。
 

◎吾々の膳をだす。
 

◎かわせのはんぎりを出す。神を拝す。
※はんぎりとは、東西からの献上品で盆の中に人形など作られている。
祭事が始まる前に熊野神社に置かれていた献上品(左右)です。
  

◎神の膳を徹す。神を拝す。
◎吾々の膳を下げる。
◎吾々の三三九度の盃。
熊野神社の社務所でもおこなわれた儀式と同じです。
  

◎芋打ちの酒肴を出す。
◎釣石を切る。
神の膳が乗っていた場所の下に、石が吊されていたのを切ります。
 

◎神の角力を取る。
※三番丈が行司役で東西、それぞれに角力をおこないます。
角力には、唄があります。
一。
これが今日の神の角力。
大角力始まり、大手よし。
か〜ち一番、今度の勝負で突き倒せ。
二。
これが今日の関分けの角力。
大角力始まり、大手よし。
か〜ち一番、今度の勝負で打ち倒せ。
三。
これが今日の関の角力。
片や谷風、片や小野川。
か〜ち一番、今度の勝負でねじ倒せ。
 

ここでようやく、メインの芋競べの儀式が始まります。
◎芋を出す。
◎芋を打つ。
じょうじゃくを改めましょうかで、芋の長さを測り始めます。
測る所作は、酔ったような動作で芋の葉から根までを測ります。

最初は、東は東で西は西で測るので、どちらも短いとは言わず、
次に、東は西の測り人。西は東の測り人で、再度、測り直し。

西。
東の芋より西の芋は、
一丈も二丈も三、四丈も五、六丈も長う打ちましてござる。
東。
西の芋より東の芋は、
一丈も二丈も三、四丈も五、六丈も長う打ちましてござる。
双方が自分の地区の方が長いと言い張る。

幾度も繰り返し。
測るのは、樫の木で作ったものさしです。
  

西。
東の芋より西の芋は、
一丈も二丈も三、四丈も長いかと思いましたが、
只今の儀につきましては僅か一尺ばかり長う打ちましてござる。
東。
私も先程は欲目もござったが、
西の芋より東の芋は、
一丈も二丈も三、四丈も長いかと思いましたが、
只今の儀につきましては僅か一分ばかり短こう打ちましてござる。

そして、西地区が勝ち、今年は豊作と判定にいたる。
 

豊作は西だからと言って、西地区の判定ばかりではありません。
不作の判定もあるようです。
このような芋競べは、ここにしかなく奇祭として知られています。

◎東西の芋を交換する。神を拝す。
これで野神山の長い祭事は終わります。
それぞれが、来た道を戻り熊野神社に戻ります。


熊野神社の社務所で、
野神山の芋競べの報告をして、ようやく終わります。
熊野神社から野神山、そして熊野神社まで、
すべてが終えるのに4時間かかりました。

野神山での神事は2時間続きます。
9月1日の暑い時期なので立ちずくめは相当に体力を消耗しますので、ご注意を。


2010年におこなわれた「芋競べ祭り」の様子です。

〜熊野神社〜
近江鉄道「日野駅」下車、バス「中山」下車、徒歩1分。

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